経営革新計画の申請

 補助金等の支援策に応募するに当たり、「経営革新計画」の認定を事前に受けておくとよいと聞きました。経営革新計画を申請するに当たり、都道府県の認定を受けるには、どのような点に注意して計画を作成すれば良いでしょうか。(インターネット販売を新たに始めるに当たり、ネット販売限定の新商品開発を検討しています。)

 私は、経営革新計画承認取得支援を18社行い、18社の承認取得の実績(奈良県4社・大阪府13社・岡山県1社)がありますし、経営革新計画のセミナー講師を8回しましたので、これらの経験に基づきまして回答します。

(1)経営革新計画承認取得のポイント

  1. 「新規性」
     個々の中小企業者にとって「新たな事業活動」であれば、他社において採用されている技術・方式を活用する場合でも、原則として承認の対象となります。
     ただし、①業種毎に同業の中小企業の当該技術等の導入状況、②地域性の高いものについては、同一地域における同業他社における当該技術等の導入状況を判断し、それぞれについて既に相当程度普及している技術・方式等の導入については、承認対象外となります。
     しかし、この判断には必ずしも明確な基準があるわけではありません。実務上、新規性の判断は経営者ではなく、各都道府県の担当者に委ねられています。したがって、経営者は各都道府県が納得する「新規性のある経営革新計画」を構築する必要があります。

  2. 「実現可能性」
     テーマが自社の能力の範囲内でできるのか、自社の経営資源の範囲内でできるのかという、実現可能性について検討する必要があります。充分できるようであれば実現可能性がある訳です。
     まずは、市場に提供して販売できる新商品・新サービスであるかが重要になります。別の言い方をすれば、消費者のニーズがあるかどうかです。どんなにすばらしい新商品・新サービスでも、販路開拓ができなければ、事業として成立しません。
     できれば、新商品や新サービスを販売し、何件か販売実績ができたタイミング(アーリーステージ)で申請すれば、実現可能性があることをアピールでき、承認になる可能性が高まります。
     資金面についても考える必要があります。たとえどんなにすばらしい計画でも、莫大な投資や資金が要るようであれば、実現可能性は低いと見なければいけません。
     また、社内に推進のキーマンがいるかどうかや、社外の協力機関はあるかどうか等についても考える必要があります。
     「絵に書いた餅」ではなく、適切なプランニングによる実効性こそが、経営革新計画を成功に導くことになります。
     各都道府県の担当者は経営革新計画の実現可能性を判断するため、販路開拓、資金調達や社外の協力機関などとの交渉状況も確認します。

(2)申請書作成のポイント

  1. 魅力ある事業計画を作成することです。魅力ある事業計画とは、第三者に「儲かる事業(有望な事業)」と思ってもらえるかどうかです。そのためには、経営計画に上記で説明した「新規性」と「実現可能性」が高いことを盛り込む必要があります。
  2. わかりやすい文章表現にし、専門用語はカッコ書きして補足説明をします。数字の間違い(縦計・横計・小数点以下第何位など)がないようにもしなくてはいけません。
  3. 新事業については、都道府県の担当職員が理解しやすい資料を添付します。具体的には、パワーポイントなどで別資料を作成したり、写真・図面・データ・試作品なども添付することです。
  4. 特に資金調達の支援措置は、申請前に借入申込み金融機関に相談しておく必要があります。
  5. 新事業を遂行するに当たって、法律が関係する場合(許認可など)には先に取得しておく必要があります。
  6. 技術的な開発が伴う場合は、都道府県側で技術の裏付けに時間がかかるため、通常より承認に時間がかかります。

(3)補助金に関して

  1. 「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」においては、経営革新計画の承認取得済(申請中を含む)であれば、審査に加点されますので、事前に承認を取得しておくことを勧めます。
  2. 平成28年7月に施行された、「中小企業等経営強化法」に基づく、「経営力向上計画」の認定取得済(申請中を含む)であれば、上記補助金の審査に加点されますので、事前に認定を取得しておくことを勧めます。

事業繁栄コンサルティング(代表・田中道彦氏)

事業繁栄コンサルティング 田中たなか 道彦みちひこ 先生

経営計画・資金繰り

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生駒市喜里が丘1-8-24

私はりそな銀行出身の中小企業診断士で、18 社の経営革新計画承認取得支援の実績があります。

掲載日: 2017/3/ 6 (更新: 2018/7/ 4 )

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