固定資産の減損処理(※)について教えてください。会社の資産状況の把握に役立つようですが、当社は中小企業ですので、処理の義務付けはないと聞きました。経理担当者に余力があれば、(1)義務でなくても実態を把握して処理した方が良いのでしょうか。(2)資産状況把握以外の利点はありますか。
※不動産の収益性低下により投資額の回収が見込めなくなった場合に、帳簿価額を減額する会計処理
(1)義務でなくても実態を把握して処理した方が良いか
減損会計は、固定資産が将来にわたって獲得する利益が、固定資産の帳簿価格を著しく下回る場合にその差額を減損することであり、この場合、減損額の把握自体が正確になされない限り、減損後の固定資産の価値を、正しく貸借対照表に表現できないと考えられます。
(2)資産状況把握以外の利点の有無
減損会計における資産状況の把握以外のメリットですが、正確な減損処理がなされたとしても、税法上は、一定の場合を除き、固定資産の減損額は、原則損金不算入の立場をとっていますので、会計上の減価償却費と、税法上の減価償却費が異なるため、償却費の処理が煩雑となるデメリットが発生します。
敢えてメリットとすれば、固定資産の新規投資に際し、投資判断の一つの手法として将来の稼得利益の算定に利用できることだと考えられます。
武野会計事務所 武野 勝文 先生
〈専門〉税務、社労士業務
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掲載日: 2017/8/ 7 (更新: 2018/3/21 )